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2021年4月19日

廃プラ由来の燃料を熱源にした敷料再生装置を開発・販売開始 ~牛の糞尿処理の効率化により畜産農家の経営を支援し、資源循環型社会の実現にも貢献~

クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 藤田晴哉)環境メカトロニクス事業部エンジニアリング部は、畜産業の牛舎で使用される敷料を繰り返し再生・使用できる装置を開発、このたび1号機を納入し、正式に販売を開始しました。
これにより牛の糞尿処理の手間や敷料購入費用を大幅に削減することが可能となり、畜産農家の経営効率化や衛生管理、牛の飼育環境の向上を支援します。熱源には廃棄物由来の固形燃料を使用するため、SDGsSustainable Development Goals)が定める目標12「つくる責任 つかう責任」に繋がる資源循環型社会の実現にも貢献する製品です。

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牛舎内の敷料

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敷料再生装置


1.開発の経緯

日本全国で年間に発生する家畜排せつ物の量は約8千万トンと推計され、容積に換算すると東京ドームの75倍に相当します。そのうち半分以上が肉牛や乳牛などの牛からの糞尿で、その吸収や処理のために敷料が使用されています。敷料の原料は、わら、おが屑、木屑などで、牛舎の床に敷いて牛の安楽性を保つベッドのような役割も果たし、牛舎で牛を飼育するには欠かせない資材です。衛生管理のために敷料は毎日新しいものを補充、入れ替える必要があり、大量に発生する使用済み敷料の大半は堆肥化して農地に還元されています。

しかし近年、全国的に大規模な木質バイオマス発電施設が急増していることで、敷料の原料となる木質系原料の価格が高騰し、畜産農家の経営を圧迫しています。また、使用済み敷料は、農地に還元する時期まで長期間保管しなければならず、貯蔵場所・悪臭の問題や衛生管理対策は農家にとって大きな課題でした。

そこで、当社エンジニアリング部の燃焼・廃棄物処理技術を活用して、使用済み敷料を繰り返し再生して使用できる敷料再生装置を開発(特許出願中)し、熊本県の畜産農家に1号機を納入しました。


2.敷料再生装置の概要

 当社の開発した敷料再生装置は、RPF(注1)燃焼装置を組み込んでおり、資源を有効利用し廃プラスチック問題へも対応する地球環境にやさしいサーマルリサイクルシステムです。当社独自の燃焼・廃棄物処理技術により強力な殺菌・乾燥能力を有し、家畜の糞尿を含む使用済み敷料を、クリーンな敷料に繰り返し再生します。これにより敷料購入費用を大幅に低減することができ、また使用済み敷料処理の手間も解決できるため、畜産農家にとっては一石二鳥のメリットがあります。

(注1)RPF(Refuse Paper and Plastic Fuel):産業廃棄物の古紙やプラスチックを原料とした固形燃料




【主な特長】

① 強力な殺菌・乾燥能力でサラサラの敷料を連続的に製造

当社独自の燃焼・廃棄物処理技術により、使用済み敷料を細かく粉砕しながら高温で瞬間殺菌・乾燥し、敷料として最適な含水率2040%を達成。

② 敷料購入のランニングコストを削減、糞尿・堆肥処理問題を解決

使用済み敷料を新たな敷料に繰り返し再生できるため、原料不足により価格が高騰している敷料の購入費を大幅に低減するほか、操作性の高い装置設計により一人で作業を完結できるため少人数での対応が可能。
農家の規模拡大に足かせとなっている糞尿・堆肥処理問題も本装置の導入により解決。

③ RPFを熱源に使用し、経済的で低環境負荷

古紙や廃プラスチックなどの廃棄物から作られ、石炭などの化石燃料の代替として注目を集める固形燃料のRPFを採用。
地球環境負荷低減に貢献するほか、ペレット形状で取扱い易く、低コストで高発熱量のため経済的。


shikiryou_zengo.png左:再生前の敷料(入口側) 右:再生後の敷料(出口側)



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再生装置から搬出される敷料


3.主な仕様

・投入対象:含水率60%以下の固形状~半固形状の使用済み敷料

・再生敷料の含水率:2040% ※投入する使用済み敷料の原料や含水率により異なります

・標準設置面積:10m×30m ※高さ7m以上、風雨対策として屋根下に設置


4.販売価格

参考価格 1億9,800万円~(税込) 

 【最小システム構成例】
・敷料再生装置(排ガス処理装置を含む) :1

・再生品排出機 1

RPF燃焼装置(排ガス処理装置を含む) 1

・動力制御盤(自動制御装置) 1


5.販売目標

2024年度:10億円


6.今後の展開

現在は酪農農家向けの敷料に対応していますが、今後は性状の異なる敷料にも対応を広げるほか、肉牛農家などより大規模な農場向けの敷料再生にも対応すべく開発に取組みます


7.お問い合わせ先

■報道に関するお問い合わせ

総務部 広報グループ 担当:本多  TEL: 06-6266-5071

〒541-8581 大阪市中央区久太郎町2-4-31

■製品・販売に関するお問い合わせ

環境メカトロニクス事業部 エンジニアリング部 担当:下田平 TEL: 072-820-7511 / E-mail:[email protected]

572-0823 大阪府寝屋川市下木田町14-41